Mutant Musicのつくり方
曲をつくるときに考えていること、試してきたこと、いつか書いてみたいことを、一つの場所にまとめます。
まえがき
曲をつくっていると、説明できないまま手が動いていることがある。
なんとなく次のコードへ進み、なんとなくメロディーを乗せる。録音して聴き返すと、そこには自分なりの決まりや好みがある。それをあとから言葉にしてみよう、というのがこのNOTESの出発点です。
正式な教科書ではなく
みゅーは、正式な音楽教育を受けて曲づくりを始めたわけではありません。ここに書くのも、音楽理論の教科書ではなく、Mutant Musicの曲をつくる中で少しずつ分かってきたことです。
だから、一般的な音楽理論とは用語や説明が違うところもあるかもしれない。そこは確認しながら直していきます。ただ、曲をつくるときに何を聴き、何を考え、どこで「これでいい」と決めているのか。その手触りは、教科書とは別に残しておけると思っています。
いわゆる「頭では分かっているんだけど、うまく説明できない」というものを、いったん文章にしてみる試みです。
化けの皮を剥がしてみる
コードの選び方やメロディーの動かし方を言葉にすれば、Mutant Musicの曲が何でできているかも少し見えてくるはずです。自分で自分の音楽の化けの皮を剥がす、と言ってもいいかもしれません。
仕組みを知ることで、曲がつまらなくなるとは思っていません。単純な理屈からでも、つくる人の感性や体験によって、出てくる音楽は変わるからです。
理論は、曲をつくるための材料の一つにすぎない。最後にものを言うのは、つくる人が何を聴いてきたか、何を面白いと思うか、そして何を歌にしたいかだと思います。
このNOTESが、自分の曲をつくってみるための小さな足がかりになればうれしいです。
1、コード理論 基本編
コードは、音の重ね方の名前
コードネームは、最初は暗号に見える。でも、基本になる三和音だけなら、書いてあることは意外と単純です。
まずはCをつくる
ここでは、西洋音楽で一般的な十二平均律を前提にします。一オクターブを12の音に分け、その中から音を選んで重ねる。三和音は、名前のとおり三つの音でできた和音です。
たとえばCメジャーなら、音は ド・ミ・ソ。Cを根音(ルート)として、そこへ3度と5度の音を重ねています。半音の数で見れば、CからEまでが4、CからGまでが7です。
同じ作り方で、Dメジャーは レ・ファ♯・ラ、Gメジャーは ソ・シ・レ、Aメジャーは ラ・ド♯・ミになります。コードネームの最初の文字は、まずルートを教えてくれます。
並び順が変わっても、ルートは変わらない
Cの音を ミ・ソ・ド や ソ・ド・ミ の順に並べることもできます。いちばん低い音は変わりますが、構成音がCメジャーのままなら、コードのルートはCです。
ここは、昔の僕が「CといったらCの音から始まる」と書いたところより、少し丁寧に分けた方がよさそうです。ルートと、実際にいちばん低く鳴っているベース音は同じとは限りません。ベース音の違いは、あとでオンコードを考えるときに効いてきます。
ドレミとCDE
同じ音にも、ドレミ、CDE、ハニホといった呼び方があります。コード譜で主に使うのはC、D、Eという英語式の音名です。日本語のハ長調の「ハ」はCに当たります。
ドイツ語式ではBとHの扱いが英語式と異なるので、混ぜるとかえって分かりにくい。まずはコード譜のCをド、Dをレ、Eをミとして行き来できれば十分です。
コードを覚えるというより、文字を見たときに重ねる音が思い浮かぶようになる。その最初の一歩がCの ド・ミ・ソ です。
音階の間隔を、全音と半音で見る
ドレミファソラシドがそれらしく聞こえるのは、音の名前だけでなく、隣り合う音どうしの間隔が決まっているからです。
全音は半音二つ分
ピアノでは、すぐ隣の鍵盤へ進む距離が半音。その半音を二つ進むと全音です。白鍵どうしでも、間に黒鍵がないミとファ、シとドは半音になります。
黒鍵から数える場合も同じで、色ではなく鍵盤を一つずつ数えます。昔の記事では「黒鍵と黒鍵の間は全部、全音」と書きましたが、これは正確ではありません。どの色の鍵盤かではなく、半音いくつ分離れているかを見る方が確実です。
ギターなら、同じ弦の隣のフレットが半音、二フレット分が全音。こちらは見た目が均等なので、間隔をつかみやすいと思います。
メジャースケールの並び
メジャースケールの間隔は、上がる方向に 全・全・半・全・全・全・半。Cから始めると ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド になります。
Gから同じ間隔で進めば、ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ。ファを半音上げることで、Cメジャーと同じ間隔の形を保てます。
形を保ったまま移す
カラオケのキーボタンで曲全体を上げ下げしても、メロディーの輪郭やコードどうしの関係は保たれます。すべての音を同じ幅だけ動かしているからです。
作曲でも同じで、まずCで考えたものを別のキーへ移すことができます。大事なのは音名を丸暗記することより、音どうしの間隔を保つことです。
I・IV・V――三つの和音から始める
曲にはどんなコードを使ってもいい。それでも、最初の足場として便利な三つがあります。
CメジャーならC・F・G
Cメジャースケールの1番目の音Cから作る三和音がC、4番目のFから作るのがF、5番目のGから作るのがGです。ローマ数字では I・IV・V と書きます。
I = C = ド・ミ・ソIV = F = ファ・ラ・ドV = G = ソ・シ・レ
Iは帰ってきた感じのする場所。IVはそこから少し外へ開き、Vは次を待つ力をつくりやすい。三つを並べるだけでも、出発して戻るような流れができます。
キーが変わっても番号は同じ
Gメジャーなら G・C・D、Aメジャーなら A・D・E。コードネームは変わりますが、役割は同じ I・IV・V です。
この番号で考えられるようになると、キーを変えても進行の骨組みを持ち運べます。コード譜の文字だけを追うより、どこがIで、どこがIVやVなのかを見る方が、別の曲との共通点も見つけやすくなります。
三つで十分、ではなく三つから始める
昔の記事では「基本的にはこの3コードで曲を作る」と書きました。実際、三つだけで成立する曲はたくさんあります。ただし、使ってよいコードが三つに限定されるわけではありません。
まずI・IV・Vだけで一周させ、足りない色が見えてから別のコードを加える。そう考えると、この三つは規則ではなく、曲を始めるための最小セットです。
V7がつくる、帰りたくなる感じ
学校の「起立、礼、着席」で聞いた三つの和音を覚えている人もいると思います。あの終わった感じをつくる代表的な動きが、Cメジャーでの G7→C です。
Gにファを加える
Gメジャーは ソ・シ・レ。そこへルートGから短7度上のファを加えると、G7の ソ・シ・レ・ファ になります。
同じ作り方で、C7は ド・ミ・ソ・シ♭、D7は レ・ファ♯・ラ・ド。コードネームの7だけが付いた場合、基本になるメジャー三和音へ短7度を加えたドミナント・セブンスを表します。
シとファが動きたがる
G7の中では、シが半音上のドへ、ファが半音下のミへ進みやすい。この二つの動きが重なることで、Cへ戻ったときに強い解決感が生まれます。
だからG7は、単に「不安定な音」というより、行き先の方向が見えやすい和音です。鳴らしたまま止めると続きを待ちたくなり、Cへ進むと句点が打たれたように感じられる。
ルールではなく、よく効く動き
I→IV→V7→I は、調性のある音楽で分かりやすく働く進行です。ただし、すべての曲がこの順番に従うわけではありません。V7からあえて別の場所へ進んだり、解決を先延ばししたりする曲もあります。
また、IVからIへ進む動きは「アーメン終止」やプラガルな動きとして知られていますが、いつでもフレーズの終止になるとは限りません。
まずはG7を鳴らし、そのあとCを鳴らす。説明を読むより先に、身体が「帰った」と感じるか確かめるのが一番早いと思います。
CメジャーからAマイナーへ
CメジャーとAマイナーは、使う音の顔ぶれがよく似ています。同じ白鍵を使いながら、どこを帰る場所にするかで景色が変わります。
平行調と同主調
Cメジャーの平行短調はAマイナーです。二つは同じ調号を持ち、Cメジャーの6番目の音Aから並べるとAナチュラル・マイナーの ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ になります。
これに対して、CメジャーとCマイナーは主音が同じなので同主調です。Cナチュラル・マイナーは ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド。E♭メジャーと同じ調号を持ちます。
昔の記事では、Aマイナーにソ♯を含め、Cマイナーにシのナチュラルを含めた形を、そのまま平行調の音階として説明していました。これはナチュラル・マイナーではなく、7番目の音を上げたハーモニック・マイナーの形です。
なぜE7からAmへ戻りたくなるのか
Aナチュラル・マイナーの5番目の三和音はEmです。しかしソをソ♯に上げるとEメジャーになり、さらにレを加えるとE7になります。
E7 = ミ・ソ♯・シ・レ。ソ♯が半音上のラへ進みたがるため、E7→Am は強く帰る感じをつくります。
短調で i→iv→V7→i、Aマイナーなら Am→Dm→E7→Am と動かすと、最後のAmがはっきり主役になります。
「代理」と「同じ調」は分けて考える
CとAm、FとDmのように構成音を多く共有するコードは、曲の中で似た役割を担うことがあります。ただし「平行調であること」と「代理コードとして置き換えられること」は同じ意味ではありません。
まず調の関係を確認し、そのうえで実際の進行の中で置き換えたときにどう聞こえるかを試す。理屈だけで自動的に交換するより、その方が曲の表情を残せます。
オンコードで、ベースラインを描く
コード譜に出てくる C/G や G/B。スラッシュの右側は、和音の名前ではなく、いちばん低く鳴らすベース音を指定しています。
ルートとベースは別のもの
C/G はCメジャーの ド・ミ・ソ を鳴らしながら、ベースをG、つまりソにする指示です。CのルートはCのまま。変わるのは最低音です。
三和音の構成音をベースに置く場合は転回形になりますが、スラッシュの右側には和音に含まれない音が来ることもあります。記号が教えるのは、まず「この音をベースに置く」ということです。
ドからシへ、シからラへ
たとえば C→G→Am→G→F→Em→Dm→C では、ルートをそのままベースにすると ド→ソ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ→ド と動きます。
GをG/Bに変えて C→G/B→Am とすれば、ベースは ド→シ→ラ。大きく跳ばず、一音ずつ下がる線になります。
Em→Em/D→C なら、ベースは ミ→レ→ド。コード本体を大きく変えなくても、低音だけで流れをつくれます。
省略してよいとき、残したいとき
弾き語りでは、オンコードを省略しても歌の骨格が伝わることがあります。でも、ベースラインがメロディーのように働いている場所では、外すと曲の歩き方まで変わる。
オンコードは難しい飾りではなく、和音の下にもう一本の線を引く方法です。コードを縦の響きとして見るだけでなく、ベースが横にどう進むかを見ると、同じ和音の並びにも別の動きが見えてきます。
よくあるコード進行を、曲づくりの材料にする
主要三和音とマイナーコードを覚えると、知っている曲の骨組みが急に見えることがあります。そして、別々の曲が同じような進行を使っていることにも気づきます。
Amを中心に並べてみる
Aマイナーで Am→Dm→E7→Am と進めば、i・iv・V7・iの分かりやすい一周です。途中にC、F、Gを入れると、CメジャーとAマイナーの間を行き来するような流れになります。
Am→Dm→G7→C なら、暗い場所からCへ抜ける。Dm→Am や F→C は、強く押し切るというより、少し力を抜いて落ち着く動きとして使えます。
コードを元の主要三和音へ置き換えてみると、進行の輪郭が見やすくなることもあります。ただし、置き換えると同じ響きになるわけではありません。マイナーコードが持っていた陰りや、ベースラインの細かな動きは消えます。
同じ進行でも、同じ曲にはならない
気に入った進行をメモし、その上へ別のメロディーを乗せる。これは僕も曲づくりの入口として使ってきた方法です。
短いコード進行のような抽象的な仕組みと、具体的なメロディー、歌詞、編曲、演奏は分けて考える必要があります。著作権も「アイデア」と「創作的な表現」を区別しますが、どこまでが保護されるかは個別の事情によります。元曲の表現をそのまま写してよい、という話ではありません。
同じ進行でも、テンポ、リズム、メロディー、言葉、声が変われば、曲の手触りは変わる。ありふれた骨組みを使うことより、その上で自分が何を選ぶかの方が大きいと思います。
まず耳で見つける
理論から進行を作ってもいいし、好きな曲を聴いて「ここが気持ちいい」と思った場所を探してもいい。あとからコードを確かめると、自分が何に反応したのかが少し分かります。
よくある進行は、使い古された答えではなく、多くの曲が共有している語彙です。語彙が同じでも、何を話すかまでは決まりません。
E7からAmへ――一時的な引力をつくる
Cメジャーの曲なのに、急にソ♯を含むE7が出てくる。その一音で、次のAmが少し特別な場所に聞こえます。
III7ではなく、V7/viとして見る
Cメジャーの3番目の音Eから、普通に調の中の音だけで三和音を作ればEmです。それをE7に変えると、Cメジャーにはないソ♯が入ります。
E7 = ミ・ソ♯・シ・レ。ソ♯はAmのルートであるラへ半音で上がるため、E7はAmへ進む強い方向を持ちます。
ポップスではE7を「III7」と呼ぶこともありますが、機能を見るなら V7/vi、つまりviであるAmへ向かう一時的なドミナントと考えると分かりやすいです。
FからG、E7を通ってAmへ
F→G→E7/G♯→Am と並べると、ベースが ファ→ソ→ソ♯→ラ と半音を含みながら上がります。和音の引力とベースラインの上昇が同じ方向へ重なる進行です。
続けて Am→Am/G→F と下げれば、上がった線が折り返して循環できます。上昇と下降を組み合わせることで、短い進行を何度繰り返しても流れが止まりにくくなります。
メジャーとマイナーを橋渡しする
E7が曲全体をAマイナーへ転調させるとは限りません。Amだけを一時的に強く見せ、そのあとCメジャーの流れへ戻ることもできます。
この短い寄り道が、明るい調の中へ影を差したり、サビの言葉を少し重くしたりする。E7は、メジャーとマイナーの二つの世界を固定するのではなく、その間に一瞬だけ橋を架ける和音です。
コードの下で、ベースを一音ずつ下げる
コードネームだけを追うと別々の和音が並んでいる。でもベースだけを聴くと、一音ずつ階段を下りている。そんな進行があります。
ドからレまで下りる
たとえば C→G/B→Am→G→F→C/E→Dm→G。ベースは ド→シ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ→ソ と動き、最後のGからCへ戻れます。
和音を少し変えて Em/B や Em を使うこともできます。大事なのは、特定のコード列を正解として覚えることではなく、低音が順に下がる感触を利用することです。
昔の記事では、C→Em/B→Am→G→F→Em→Dm→Dm7/G をパッヘルベルのカノン進行と書きました。ただ、一般にカノン進行として挙げられる形とは和音の並びが異なります。ここでは、カノンそのものではなく、下降するベースを持つ別の進行として扱います。
Dm/GはG7と同じではない
Dm/G の構成音は、ベースのGにD・F・Aを重ねたもの。G7の G・B・D・F とは、BとAの違いがあります。
どちらもCへ進みやすい場面はありますが、響きは同じではありません。Dm/Gにはサスペンドされたような開きがあり、G7より解決を少し曖昧にできます。
I・vi・IV・Vへ短くする
下降線の一部を省くと、C→Am→F→G という I→vi→IV→V の四和音にもできます。Open Music Theoryでは、英語圏のポップスで広く使われる形としてdoo-wop schemaと呼ばれています。
細かく一音ずつ下げるか、要点だけを四つのコードにするか。どちらを選ぶかで、同じ方向の進行でも時間の流れ方が変わります。
上がる進行を、どこで折り返すか
ベースが下がると流れが生まれるなら、上がる動きにも別の勢いがあります。ただ上がり続けるだけでなく、どこで止まり、どこで折り返すかが面白いところです。
DmからCへ向かって上がる
Cメジャーで Dm→Em→F→G→C と進めると、コードのルートは レ→ミ→ファ→ソ と上がり、最後にCへ着地します。
フレーズの終盤へ置くと、言葉やメロディーを押し上げながら次の区切りへ運べます。二回目だけ上昇部分を長くする、途中で一度Emへ戻る、といった変化もつけやすい進行です。
F→G→Amは、Cへ解決しない
F→G→Am はCメジャーで IV→V→vi。VからIへ戻らず、viへ進むので、解決したようで少し先が残ります。
この動きを F→G→Am→G→F と折り返せば、山を上って同じ場所へ戻る循環になります。終わりをはっきり作らず、同じ風景を繰り返したいときに使いやすい。
ループの上でメロディーを探す
短い進行を繰り返すと、コードを追う負担が減り、その上でメロディーの小さな違いを試せます。
昔の記事では特定の映画音楽をこの進行の例にしましたが、一曲全体を三つのコードだけで説明するのは乱暴でした。ここで残したいのは作品名ではなく、上昇してviへ抜ける感触と、それをループさせて歌を探す方法です。
maj7とmaj9――三和音の外側へ
僕が好きなコードの一つにDmaj9があります。レ・ファ♯・ラ・ド♯・ミ。Dメジャーの三和音へ、メジャー7thと9thを重ねた響きです。
C7とCmaj7は別のコード
何も付かないCはCメジャーの ド・ミ・ソ。C7はそこへ短7度のシ♭を加えた ド・ミ・ソ・シ♭ です。
Cmaj7は、長7度のシを加えた ド・ミ・ソ・シ。表記には Cmaj7、Cma7、C△7 などがあります。記号は完全には統一されていないので、自分で書くときは一つの方式に揃える方が読みやすいと思います。
数字の7だけなら短7度、maj7なら長7度。この半音の差で、和音が次へ強く進みたがるのか、同じ場所で少し浮いているのかが変わります。
9thまで重ねる
maj9は、メジャー三和音に長7度と長9度を含むコードです。Dmaj9なら D・F♯・A・C♯・E。
実際の演奏では、すべての音を狭い範囲に順番どおり置く必要はありません。低音と高音へ分けたり、構成音の一部を省いたりして、濁り方を調整できます。
調の中にあるmaj7
Cメジャーの音だけで四和音を作ると、IのCmaj7とIVのFmaj7がメジャー7thになります。Gmaj7にはファ♯が必要なので、Cメジャーのダイアトニックな和音ではありません。
だからといって使ってはいけないわけではない。調の外の音を一つ入れたとき、その違和感をどう聞かせたいかが問題です。
三和音だけでは少し輪郭が強すぎるとき、maj7やmaj9を加えると、和音の中に余白ができます。名前を覚えるより、まずC、C7、Cmaj7を順番に鳴らして、何が変わったか耳で確かめるのが近道です。
Fmaj7→G→Em→Amという循環
2009年の僕は、Fmaj7→G→Em→Am を「99%のヒットソングがこれで作られている」と書きました。もちろん科学的な統計ではない。よく耳にして、作曲中にも何度も手が伸びる、という実感を大げさに言ったものです。
IVmaj7→V→iii→vi
Cメジャーでは、Fmaj7→G→Em→Am は IVmaj7→V→iii→vi。最後のAmから再びFへ戻せるので、終止せず循環できます。
Gは本来Cへ強く向かいやすいVですが、ここではEmへ進みます。期待したIを避けてiiiへ進み、そのままviへ下りる。はっきり終わらないことが、もう一周を自然にします。
日本のポップス解説では「王道進行」と呼ばれることがあります。ただし、名前が付いているから万能というわけでも、この形だけで曲の良し悪しが決まるわけでもありません。
一音変えるだけで流れが変わる
EmをE7/G♯へ変えて Fmaj7→G→E7/G♯→Am とすれば、ベースが ファ→ソ→ソ♯→ラ と上がり、Amへの引力が強くなります。
GをG/F、AmをAm/Gのようなオンコードにすれば、上の和音が変わる一方で低音に別の線を描けます。同じ四つの区画でも、内側の声やベースを変えるだけで表情は動きます。
呪縛ではなく、語彙として持つ
昔の記事では、この進行を「悪魔の進行」とも書きました。気持ちよく使えてしまうから、作る側が抜け出せなくなるという意味です。
でも、同じ進行を使うこと自体が問題なのではありません。いつも無意識に同じ場所へ手が伸びるなら、一度それに気づく。あえて使うのか、途中の一音を変えるのか、リズムやメロディーで別の方向へ行くのかを選ぶ。
理論は曲を量産する公式ではなく、自分の癖を見えるようにする道具です。この進行を覚えることより、使ったときに自分が何を気持ちいいと感じているかを知る方が、次の曲につながります。
2、コード理論 応用編 -コードだってお化粧して、おめかしして、格好つけたい-
- 【講習】IVの短調化① (F→Fm)
- 【実技】IVの短調の解決 (F→Fm→G7) 昇って行って落とす (Dm→Em→Fm)
- 【講習】IVの短調化② (C→Fm)
- 【実技】イントロとか後奏によくありがちな進行①
- 【講習】add9 (I), sus4 (V)
- 【実技】イントロとか後奏によくありがちな進行②
- 【講習】9th (VIm9), 6th (I6)コード
- 【実技】妙に暗いやつ9th, 妙に明るいやつ6th
- 【講習】dim, とかaugとか+とか不安を掻き立てるコード
- 【実技】早く安心したくなる (D→D+→D6→D7)
- 【講習】VII#m7-5
- 【実技】ストレスは解消したくなる (Bm7-5→E7→Amとか)
- 【講習】IIIm7-5
- 【実技】すごく欠落した感じ、埋め合わせしたくなる (G→Bm7-5)
- 【講習】IIImのクリシェ (Em→Em△7→Em7)
- 【実技】クリシェからm7-5に持ち込んでsus4で解決
- 【講習】IImのクリシェ (Dm→Dm△7→Dm7)
- 【実技】IImのクリシェはなんか絶望的
- 7thを多用してブルース
- ディスコード、不協和音
- 移調と転調
- 移調のきっかけをどうするか,sus4で行ったり来たり
- ここまでのまとめ- ここまでの知識でかなりイカした音楽が作れる.
3、コード理論 裏技編 -ヒットソング進行の呪縛から抜け出せるか-
- 転調コードという考え方-裏切る快感-
- 基本転調コードその1 IVの否定 (F→D7)
- 【実技】超長調,展開,展開
- 基本転調コードその2 Vの否定 (C→B♭)
- 【実技】ちょっとロックな気分 (D→C→G)
- 【実技】いつもより余計に落ちる感じ(C△7→B♭△7)
- 麻薬コード Iの否定 (F→G7→A)
- 【講習】Vの短調化 (Iの和音が7th化, Gm→C7)
- 【実技】Gm→C7→F△7 でちょっとおしゃれ
- 転調を繰り返しながら上昇 (A♭→B♭→C)
- かなり破天荒なコード進行 グランジ (A→F→B♭→E7)
- 間奏とかで使えそうな転調コード進行 (A♭, E♭△7, D♭)
- 転調コードをsus4で解決しながら強引に進む
- ジャズ風の締めくくり 最後の最後で裏切る
- 移調して,転調コードで元のキーに戻ってくる感じ
- 転調コード後、移調
- 一音ずつコードを変える
- わざと違うコードを当てる
4、ハモり
- ダブリング
- 度という概念
- 3度、4度、5度、オクターブ
- コードには存在しない音でハモる
- 上でハモるか下でハモるか
- 2部、3部?
- 多重録音というカオス
- ハモは無表情で
- ハモをつけないという決意
- これハモ付けられなくない!?
5、コーラス
- アーアー
- アーアー+別旋律でアーアー
- 追いかける
- 先行する
- 小田さんが得意なやつ
- 対位法
- ラップ?
- パンを振って空間的効果を出す
6、アレンジ
- テンポを決める、構成を決める
- Cメロ (大サビ)の存在
- ~風ということ
- ピアノで行くか、ギターで行くか、アコギで行くか、ストリングスを入れるか
- ベースは?ウォ-キングなのかカントリーなのか。
- バスドラとの関係、コードの変わり目を繊細に
- ベースラインで主旋に対してハモる
- 拍子について
- 変拍子
- 間奏前とか一番最後とか
- 始まり方、間奏、終わり方
- どっからドラム・イン/アウトするか
- 1番と2番でアレンジを変えるか
- 2番のAメロはなんかしたくなる
- 楽器のフレーズの統一という問題
- リフの一致率を曲の終盤にかけて変える
- サビの歌い回しを変える
- 最後サビを2回繰り返すか、移調するか、最後のフレーズを繰り返すか
- 演奏で何かを表現する (流れ星とかイルミネーションとか)
7、作詞
- まずは語感のいいキメを考える
- 直喩、隠喩
- 韻を踏みまくる
- 言葉遊び、造語
- わざと英語を入れてかっこつける
- ポールとか藤原くんが得意な物語風
- 吉田美和とか和田君みたいな具体的な話
- メッセージソング、と裏メッセージ
- 抽象的な、ポエム
- カオス系、井上陽水
- 一音に何語詰め込むか
- 歌詞と演奏をリンクさせる遊び
- リフレイン
- 同じことを2回言わない
- 呼称の問題
- タイトルの問題
8、レコーディング
- エレキを生音で録ってカチャカチャ言わせる
- マイクとの適切な距離 (空間的な効果)
- マイクにタオルを巻いたりする
- エフェクトのあれこれ
- パンチイン
- どこで息継ぎするか
- パンを振る、空間系
- リヴァーブをかける
- コーラスをかける
- ディレイをかける
- EQをかける
- バウンスのちバウンス
- 手拍子
- 大合唱風
- マスタリング
- いろんなデバイスで聞いてみる